"最後の楽園" PS4U
『3番線 楽園行き列車 参ります 3番線 楽園行き列車参ります
ご乗車の皆様 乗車券ご確認の上 白線の内側までお下がりください』
というWADAちゃんの駅員的なイントロダクションで始まるTomato n' Pine待望のファーストアルバム、「PS4U」。
ソウルフルな「キャプテンは君だ!」に衝撃を受け、「旅トラ」「なないろ」「ジングルガール」「ワナダンス!」*1と凄まじいクオリティの楽曲群に魅了され続けてきた僕としては、これらの神曲が全部入りという時点で発売前からとっくに神アルバム確定の今作だったわけですが、本気で、本気でハズレ曲がない。
7/29のPS2Uにて予約してWADAちゃんと握手し、8/1の女子流横ブリ帰りに新宿で回収し帰宅後早速聴いた時は、深夜にも関わらず、そして疲れていたにも関わらず、あまりにも良すぎて一人笑いが止まらなかった。
まぁそんなPS4Uなのですが、帯には「最後の楽園へようこそ!」と銘打ってあり、冒頭でも「楽園行き」がアナウンスされるように、やけに楽園が強調されてます。
この”楽園”という言葉、なんとなーくトマパイの三人から漂ってくる清楚で上品な雰囲気のことを指しているのかなぁーと、ほんの今さっきまで思ってたのですが、突然それが間違いだったと今更気付きました。
いえ、恐らく完全には間違ってないと思いますが、それはほんの一側面しか捉えられてなかった。
ではこの楽園という言葉がいったい何を指すのか。
それはズバリ言ってしまえば"音楽"だったんですね。
冒頭の「Train Scatting」はスキャットマン・ジョンだし、「ジングルガール上位時代」がピチカート・ファイブの「女性上位時代」を意識してたり「大事なラブレター」が完全に渋谷系だったりと、トマパイの楽曲は基本的に過去のオマージュに満ちまくってます。
つまり楽園とは、トマパイの制作がオマージュして止まないそういった素晴らしい音楽に満ちていた過去の音楽シーンのことで、
ここに”最後の”をつけるということからは、制作陣の"古き良き音楽を守ってやるぞ"という強い意志を感じます。
更にこの"最後の楽園"をざっくり”良質な音楽の砦”と捉え直して改めて「PS4U」すなわち「Pop Song for you」というこのアルバムのタイトルを見た時、なんだか胸に迫るものがあります。
7/29のPS2Uで、「住所不定無職」というバンドさんが
「PS2Uって、本当に良い言葉だなって思ってて。」「わたしたちも、ポップソングを、みなさんの心に届けるために、心の底から歌いたい。」的なことを語ってたんですけど、*2
PS4Uを聴くと、「あぁそうだよこれがポップソングってやつだ」と思わせてくれるというか。
住所不定無職さんの言葉通り、ポップソングをみんなに届けたい、という思いこそが、音楽をやる人間にとって正当な態度だよなというか。
聴く人のためを思って丁寧に作られた、極上の作品だなぁと思います。
音楽はただ消費されるものではないし、握手券に付属されるものでもない。
そんな当たり前のことを思い出させてくれます。
"あなた"も、上質な音楽に彩られた"最後の楽園"行きの乗車券を、お求めになってみてはいかがでしょうか。
- アーティスト: Tomato n'Pine
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- 発売日: 2012/08/01
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ちなみに。
このアルバム1つでトマパイの魅力を十分に堪能できるとは思いますが、
どこか高揚感のある上質なロックサウンドの冬曲「雪がふるから…」や、イベントPS2UのDJタイムでは必須の王道ハウス「Life is beautiful」等、
トマパイにはまだまだ名曲がありますので、もしアルバムが気に入ったらこちらもチェックしてみては。
↑「雪がふるから…」(「ジングルガール上位時代」カップリング)
↑「Life is beautiful」(二人時代のPV)
↑「Unison」(こちらも二人時代)
関連リンク
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Togetter「Tomato n' pineのプロデューサーであるジェーン・スーさんによるトマパイ作家陣ツイート紹介」