タイムリミットは夜の7時

 -Are You Ready For The Night?

トマパイについての覚え書き

昨日トマパイのPS4Uについて書いたので、
"最後の楽園" PS4U

補足的にトマパイについて僕が知ってること、それから思ってることを書いてみようと思います。

トマパイの歴史


トマパイは2009年に小池唯奏木純の2人で結成されたユニットでしたが、4/4にミニアルバムをリリースしてから半年も経たない夏頃に、奏木純が学業専念を理由に芸能活動を休止。正式なアナウンスもなく、宙ぶらりんのままトマパイも活動停止となります。このたった数ヶ月のことをトマパイ界隈では”シーズン1”と呼んでるようです。

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2010年春、舞台などの活動をしていたHINAちゃんと、YUIと同じフォースプリングス所属のWADAちゃんを加えて、トマパイは再結成されます。*1
7月28日にはPUFFYのカバー「渚にまつわるエトセトラ」が着うた配信され、8月25日にはインディーズファーストシングル「キャプテンは君だ!」が発表されたものの、2010年はあまり目立った活動はありませんでした。後半に「アイドルちん」という番組に三人で出演していたので、ももクロ好きの方なんかは見たことがあるかも。
2011年3月9日、ようやくメジャーファーストシングル「旅立ちトランスファー」をリリース。
ですが2011年もYUIちゃんが「海賊戦隊ゴーカイジャー」のゴーカイピンク役などで個別の活動が忙しかったため、リリースは三回あったものの、ちょこちょこ小さなイベントに参加する程度の活動しかしてませんでした。
風向きが変わったのは今年に入ってから。
ゴーカイジャーの撮影が終わった頃の2012年2月13日に、現在恒例となっている「PS2U」の第一回目が開催。ここからついに(?)トマパイがアイドルとして本格的に活動を始めたといっても良いでしょう。それから定期的にPS2Uを開催し、HMV主催の「日本縦断アイドル乱舞2012」に参加している等、現在は精力的に活動中なわけです。
トマパイの活動スタンスとしては、基本的に個別の活動を尊重しつつ、空いた時間でアイドルをやるみたいな感じなので、同じ系統のアイドルとしてはbump.y9nine*2AeLL.なんかが挙げられます。

っとまぁこんな感じがトマパイの今日までの歴史なのですが、この辺りはwikiなど見ていただければより詳しく分かると思います。


トマパイの制作、音楽


トマパイは、プロデューサーを2人の方が共同でなさっていることが大きな特徴で、その2人は作曲家・編曲家である田中隼人さんと、作詞家のジェーン・スーさん。
共にagehasprings所属です。
agehaspringsは、アイドルファンには9nineへも楽曲提供してることでよく知られているかと思いますが、他にはYUKIや中島美嘉、flumpool、Superflyといったアーティストへ楽曲提供をしている音楽制作プロダクションです。
個人的にですが、9nineは流行を捉えつつ”売れる”(はずの)楽曲を作っているのに対し、トマパイは流行には囚われずに、どこか制作者側が好きなものを好きなように作ってる印象があります。
よく並べられて語られる9nineトマパイですが、両者の大きな相違点は、9nineがタレント事務所レプロのアイドルであるのに対して、トマパイはソニレコのアイドルというよりはagehaspringsという音楽制作プロダクション発のアイドルであるということです。
だから力点が他のアイドルと根本的に違う。

ジェーン・スーさんはトマパイファンにはお馴染みの存在ですが、かつてはコラムニストとして活動していた模様。
作詞の言葉遣い、意味深な構成なんかは、スカスカな歌詞が目立つ昨今のJpopにおいては非常に貴重な才能だと思ってます。
トークもめちゃくちゃ面白いらしいのですが、、、いっそガールズと同じ舞台に立ってS竹さん的にMCやってくれないものかな、と密かに期待してます。
興味深いところとして、アイドルのプロデューサーなのに女性であるという点が挙げられます。他のアイドルPはみんな男ですから*3、プロデューサーが女性であるということだけでも、雰囲気だとか方針に与えてる影響力は計り知れないのでは。PS2Uで一度見かけましたが、なかなか綺麗な方でびっくりしました。
ちなみにスーさんのTwitterはなかなか面白いので要フォロー↓
https://twitter.com/janesu112

作曲家である田中隼人さんと、作詞家であるジェーン・スーさんという、男女で共に別々の役割を担った二人が共同でプロデュースしているというのは、非常にバランスが良いと思います。
いわば父と母が両方揃ったプロデュースチームであるわけで、家族みたいな構成。
だからこそ、"楽園"のような今のトマパイの雰囲気があるんだろうなぁと。



トマパイの魅力


で、僕の中でのトマパイの評価といいますか、立ち位置なんですけども、基本的に最大の魅力はやはり音楽だと思っています。

アイドル音楽とは、すなわち”アイドル”と名乗りさえすればどんなことをやっても許される自由気ままな音楽の土壌であるという側面を持つ、というのが僕の理解なのですが、トマパイはそれを逆手にとって、やりたい音楽を好きなように作り好きなように発信している、みたいなイメージがあります。
前述した通り、agehaspringsのアイドルであるトマパイは、アイドルをやるために結成されたというよりは、音楽をやるためにアイドルを作ったという感じですので、力点の比重が圧倒的に音楽に置かれているわけです。

さて、アイドル界をパッと見渡して”音楽”に力点を置いているアイドルは他に誰がいるだろうかと考えた時、そうです、われらが東京女子流も「音楽の楽しさを歌って踊って伝える」ことをモットーに活動しているわけです。

ここで少し横道に逸れますが、女子流とトマパイの違いについて。
女子流は根っからの”ライブアイドル”で、現場の音楽に強い力点を置いてます。CDやMVにも力を入れてはいますが、それでも女子流にとって最も大切なのはやはりライブであり、音楽を伝える場として現場を一番に据えているのだろうなと思ってます。
一方のトマパイは、パフォーマンスにはほとんど比重を置かず(最近少しづつライブアクトにも力を注ぎ始めましたが*4 )、どちらかといえばクラブハウスで鳴らされること、それから在宅にてヘッドホンでしっかり聴くなど、なんといいますか、"室内音楽"として力点が置かれていると思います。だから、CDの出来映えだけ見ればアイドル界では圧倒的。
PS2Uがライブハウスという音鳴りが素晴らしい環境でおこなわれることも、そのことを裏付けていると思います。
*5


しかし、いくら音楽に比重を強く置いているとはいえ、トマパイはアイドルです。ならばアイドルとしても魅力的でなければならない。
そんなトマパイのアイドル的な魅力ですが、個人的には「ガツガツしてないこと」すなわち「とにかくゆる〜いこと」ではないかと。
まるで、その辺で買い物したついでに歌いに来ましたみたいな、どこか浮世離れした、それでいて素人臭い”ゆるさ”がアイドルとしての最大の売りだと思ってます。

要するにメンバーもゆる〜くアイドルをやってるから、ファンもゆる〜く身守ることができる。
相互において穏やかでいられる。
アイドルとファンも、最適で健全な距離感を保つことができます。

また、運営もゆる〜くて、”戦わないアイドル”を自称させる通り、少なくとも爆発的に売れさせようという狙いは今の所なさそうです。良い音楽をやりたいように作り、リスナーに届け、ついでにメンバーもそれによって成長したら良いな、みたいな。とにかく運営の視点も優しい。

そういうゆる〜い運営のもとで自由気ままにさせてもらってることが、インタビューでYUIちゃんがネガティブなことばかり発言するなど、普通のアイドルだったら口が裂けても言えないことを平気で言ってしまうあたりに表れてると思います。

こういう優しい体制は、アイドルにとっての楽園という風にも捉えられるわけですが、社会に疲れた人、アイドルに疲れた人にとって、または良質な音楽体験の場としてもそうですし、トマパイは双方において、あらゆる意味で”最後の楽園”といえるのかもしれません。



で、これ書いてて面白い符合に気づいたのですが、トマパイ主催のイベント「PS2U」も、ゆるさと自由さと音鳴りの良さが魅力なイベントなので、思えばPS2Uの魅力はトマパイの魅力と完全に一致するんだなぁと。




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ところで。
fumikaというagehaspringsが楽曲提供しているアーティストさんがいるのですが、
『隣にいたかった feat. WISE』(音楽制作は田中隼人さん)という曲のMVにYUIちゃんががっつり出演しているのです!

僕はこれをカラオケボックスで初めて観たのですが、その時は (YUIちゃんこんなところで何してるんすかww) と笑ってしまいました。
しかし可愛い。



関連リンク
CD Journal |トマパイPS4U記念5週連続インタビュー
Togetter|「Tomato n' pineのプロデューサーであるジェーン・スーさんによるトマパイ作家陣ツイート紹介」

"最後の楽園" PS4U
トマパイについての覚え書き(補足)

*1:HINAちゃんはルビーパレードという別事務所。

*2:最近9nineはちょっと事情が変わってきてますけれど。

*3:僕の知ってる限り。

*4:バニビほどではないにせよ、トマパイの振り付けもめちゃくちゃ「ゆる〜い」ものだったのですが、「踊れカルナヴァル」で振り付けが少し複雑になったり、「そして寝る間もなくソリチュード」でHINAちゃんが霧吹きパフォーマンスするなど、最近ライブパフォーマンスも意識し始めてます。この原因として、定期開催となった「PS2U」で盛り上がるパフォーマンスが少ないこと、それから「ワナダンス!」がライブで異様に盛り上がったことのフィードバック、更にYUIちゃんが振り付けのために時間を割けるようになったことなどが挙げられるでしょう。

*5:余談ですが、音楽と真摯に向き合ってるアイドルであるトマパイと女子流のそれぞれのファンは、非常に親和性が高いはずだ、と勝手に思ってます

cackle7pm