タイムリミットは夜の7時

 -Are You Ready For The Night?

I、D、Z 〜LEGEND "I" @渋谷O-EAST

10/6 BABYMETAL「I、D、Z 〜LEGEND "I"」
セットリスト(昼夜共通)

M1:「BABYMETAL DEATH(仮)」
M2:「いいね!」
M3:「君とアニメが見たい? Answer for Animation With You」
M4:「ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト」
(映像)
M5:「おねだり大作戦」BLACK BABYMETAL(MOAMETAL/YUIMETAL) 初披露
M6:「紅の騎士(仮)」SUMETAL 初披露
M7:「ド・キ・ド・キ☆モーニング」
〜アンコール〜(生バンド)
(映像)
E1:「ヘドバンギャー!!」
E2:「イジメ、ダメ、ゼッタイ」
(映像にてLEGEND "D"の告知、SUMETAL聖誕祭!)

夜の部のみ参戦。

ポジションは中央付近3列目あたり。
ですが、オープニングの「BABYMETAL DEATH(仮)」でのモッシュッシュ(≠モッシュ)がのっけから激しすぎて例の如く窒息しかけ、
冗談じゃなく本気で死ぬかと思いましたが、それでもなんとか必死に食らいついて行ったところ「いいね!」では押し出されていつのまにか二列目のほぼど真ん中くらいに。
(わぁSUMETALがすぐそこに!)と感動し「いいね!」しつつも
(こ、これじゃ体力が保たない!)と生命の危機を感じて、じりじりと後退。
結果5列目の中央付近で落ち着きました。


さて、今回のライブの中でとりわけ印象的だったのは、初披露となったSUMETALのソロ曲「紅の騎士(仮)」
この曲は、鹿鳴館コルセット祭りのオープニング前に一度流されていたものですが、まさかソロ曲とは予想できなかった。
前述通り僕はモッシュッシュの激しいエリアにいた*1のですが、
SUMETALソロ曲になった途端、なんとも厳かで神聖な空気が会場を包み、まるで台風の目に入ったかのようにモッシュッシュの海が凪いで、観客が一心にSUの歌声に聴き入っていた。*2
もちろん僕も例外でなく、「紅の騎士」が始まるや否や雷に打たれたように動けなくなり、SUの歌声に酔いしれ、そしてちょっぴり泣きそうになってました。

先程の比喩を流用するのなら、まるで台風みたいなライブだったな、と思います。
O-Eastという船に乗り込んだ乗客はBABYMETALという嵐に突っ込み、ずぶ濡れになりながら(同時に心から楽しみながら)航海します。
アニメを見たりキンキラリーン★したりして転覆しそうになっていたところで、天使(あるいは小悪魔)のMOA/YUIによる愉快でメタルな可愛らしいラップに導かれ、台風の目に。
視界は晴れ渡り、雷雨も止んだところに、セイレーンごとき歌の女神(あるいは邪神)のSUMETALが顕現し、乗客の心を根こそぎ奪います。
しかし(比較的)穏やかな時間はそう長くありません。
ドキモニで再び暴風域に突入し、全身全霊でちょ待ってジャンプ。
息も絶え絶えなアンコールの末に現れたのは楽器の神々。
生バンドの「ヘドバンギャー!!」「イジメ、ダメ、ゼッタイ」で最高のクライマックス!
"D"へつづく。みたいな。

緩急ついていて、物語性に富んでおり、欠点の見当たらない完璧な構成だったな、と思います。

ライブ後は、喉はカラカラ(または叫びすぎでガラガラ)だし、骨という骨は軋むし、
耳は飛行機が高度を上げた時みたいに栓を閉めたようだしで満身創痍。
しかしそれと引き替えに、とても一時間弱だったとは思えない濃密な充実感。
ライブって"観る"ものでなくて、目と耳と身体全身で"体感"するものなのだと思ってるのですが、
ベビメタのライブ後はそれをひときわ実感できます。大満足のライブでした。

物語仕立ての構成


"アイドル"が世界を支配し、メタルの火が消えかかっていたところ、キツネさまの導きによりメタル・レジスタンスが結成され…
…云々、といった物語が話題となってますが。
鹿鳴館コルセット祭りでもそうだったように、今回もMCの代わりに映像が用いられてました。
世界観を守るために、基本的にMCをさせないで隙を作らず、パフォーマンス一点で攻め立てるのがBABYMETALの方針なのだと思っていますが、
しかしMCなしで一時間近くのライブというのは、どう考えても苦しい。
そのために、物語によってライブに1本の筋を通すことが必要だった。
更に、今回の公演はI、D、Z(イジメ、ダメ、ゼッタイのもじりだと思われる)のIntroductionなわけで、この3公演にも筋を通すことが必要だったのでしょう。そのために色んな設定が盛り込まれた。

で、僕が気になる点は、ディテールよりもこの物語が何処に帰結するか、なんですけれど。
"アイドル"(これが露骨に某大御所グループを示していた)に対抗するための”メタル・レジスタンス”が目指しているのは"メタル"の復権です。
今回は"D"にてSUMETALが再び降臨する、という次回予告で終わりましたが、やがてはZでこの物語が結ばれるはず。

と、いうことは…?


余談ですが、最初にI,D,Zの三部構成が示唆された時、曲数もそこまで増えないだろうし、"I"に来た沢山の客をどうやって"D"に呼ぶのだろう、引き留めるのだろう、と心配に思っていたのですが、
ここは流石のアミューズです。
"SU-METAL聖誕祭"と銘打たれたら行くしかありません!
"I"で提示された物語が何処へ向かうのかも気になりますし。
しかも、ライブが終わったその夜から先行予約開始という舌を巻く巧さ。(もちろん申し込みました)

しかし次回は遙かに高倍率でしょうし、チケット取るの難しいだろうな…。

その他


タワレコの嶺脇社長や、振り付け担当のMIKIKO先生、それからさくら学院メンバーにして熱烈なSUファンの莉音など、複数の関係者・著名人が来てたようです。
(僕はライブで一杯一杯だったので未確認。他のさくらメンバーも来てたのかも)

他にも、構成として、一番激しい圧縮が起こりやすい序盤に「BABYMETAL DEATH(仮)」というイントロダクションを入れてくれたのは非常にありがたかった。おかげで「アニメが見たい」あたりではかなり圧縮も落ち着いてたかなと思います。観客のモッシュッシュまで計算されてるのかもしれませんね。
また、前回の鹿鳴館の感想でちょろっと(生バンドやらないかなー)と書いてた*3のですが、まさかこんなに早く実現するとは!
SUの伸びやかな歌声は、生バンドで埋もれることなくいっそう際立ち輝きを放っていたように思えます。生バンドはやはり良い!
しかし生バンド導入によって、「メタルで踊る」的な当初の設定は薄れ、より本物の”メタル”に近づきましたね。

それにしても、僕が前回挙げていた課題点?である、ステージ低くて見えにくい、落ち着いてSUの歌声を聴ける場面が欲しい、生バンド、という事柄がすべて解決されてしまったので、本当に文句のつけようがない公演だったなぁと。次回はこれを更に上回ってくるかもしれないと思うと恐ろしい。

来年の1/9に「イジメ、ダメ、ゼッタイ」で待望のメジャーデビューが決定し、来月の10日にはシンガポールでの海外公演も予定されており、ますます勢いに乗るBABYMETAL。
その一方で、SU-METALは来年でさくら学院を卒業してしまう予定になっています。
BABYMETALは、こうした破竹の勢いと刹那性を兼ね備えており、今年最強のアイドルユニットと言えるかもしれません。


次回もみんなで仲良くモッシュッシュ〜!

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関連リンク
MUSICMAN-NET|BABYMETAL 初ワンマンに“メタルの神”生バンド登場で満員のファンが強烈モッシュ
ナタリー|BABYMETAL「イジメ、ダメ、ゼッタイ」でメジャー進出
ameba|飯田來麗 10/5「BABYMETAL」
    中元すず香 10/6「さくら学院の代表としていいステージにします!」
    中元すず香 10/10 「"I"」

*1:もう少し後ろの中央ド真ん中の方が激しかったらしいですね

*2:少なくとも僕の見える範囲では。

*3:BABYMETAL初体験記「LEGEND~コルセット祭り~」@目黒鹿鳴館

cackle7pm